人間としてのコンプライアンス

(1)

日本を代表する企業による不正が相次いで起こった。

無資格者が検査を行い有資格者の判子を借りて書類を作成、基準を満たさない製品の品質データを書き換えて出荷、顧客の財務資料を改ざんするなど、いずれも歴史ある大組織で起こった不適切な行為である。

昔からのやり方を続けてきた」「社内にまずいという認識がないまま過ぎてしまった」などといった関係者の声がメディアで紹介されているが、当事者としては正直な感想なのであろう。

また、一部ではあるが「不正行為による具体的なトラブルは発生していないのだから、いいのではないか」「もともと過剰品質と言ってもいいくらいの高い基準を設けていたのだから、それが守られていなかったからといってこれほど騒ぐ必要などないではないか」というのが本音ではないかと思わせるような関係者のコメントも目にする。

 

(2)

再発を防ぐために何をすべきか

不正が起こると必ず指摘されるガバナンス体制やチェック機能の強化が大切であることは言うまでもない。が、このような施策だけでは不十分なことは過去の例が示している。

加えて必要なのは、【不適切行為をもたらした社員行動の奥底にあるであろう「慣例に従った仕事のやり方」や「社内常識」の見直し】、だ。

それには、これまでと違ったコンプライアンスに対する見方や考え方が求められる。

従来のコンプライアンス観では、「法規や法律に反していなければいい」「マニュアルを逸脱しても実害がなければ許される」など内輪の論理による言い訳が起き正しい行動が阻害されるからである。

 

(3)

そこで新しいコンプライアンスの捉え方を提案したい。

人間としてのコンプライアンス」である。

法律が規定するから正しいことをするのではなく、マニュアルが指示するから正しいことをするのでもない。ひとりの人間として「そういうことはすべきでないからしない」と自分で意志し行動する

それが人間としてのコンプライアンスだ。

誰もが持ちうる成熟した大人としてのモラルや倫理的な感情。

そういう内面を我々日本人が持っていることは、自然災害に直面した被災地の人たちの互いに助け合う姿を報道した海外のメディアを見ても明らかだ。

性善説だけで片付くほど現実は甘くない。が、性悪説的価値観を根底に含んだ懲罰的仕組みや体制作りだけで不正が抑止できないのも事実だ。

「すべきでないことはしない」という人としての素朴な感情にもとづくコンプライアンス観を一人でも多くの人が持ち、そんな価値観や行動が組織の中に育ったら不正も抑制されるのではないだろうか。

[2017年12月13日 公開]

初稿:2013年 2月20日(https://profile.ne.jp/w/c-102647/)第2稿:2015年 12月25日(https://profile.ne.jp/w/c-165675/)をふまえて作成。
別稿: 2018年 11月6日 (https://comemo.io/entries/11256

(中沢努 「人間としてのコンプライアンス原論」を一部加筆)
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残念なことですがここまで言わないと本当の意味で気づけない】というのが現実だからです。

差し障りのない言葉で意識が変わり、行動が変わるのであればこのようなことはしません。
でも現実は違う。

早くこのようなことが必要なくなる時が来てほしい。
そう願うばかりです。

https://pensee-cmp.com/本サイト読者へ-コンプライアンス研修のページ/

資料作者

本サイト運営者 中沢 努

早稲田大学文学部で哲学を学び卒業後、同時通訳訓練を受ける。事業会社を経てアーサーアンダーセンへ入社。同社コンサルティング部門にて組織や人事問題に関する各種コンサルティング活動に従事。現在は「企業倫理・コンプライアンス」と「教養・リベラルアーツ」の分野を中心に活動。

哲学や心理学に対する造詣が深く、それらの知見をコンサルティング・意識改革・人材育成等に採り入れ応用。伝統的日本企業の組織や人材に対する深い理解と経験を有しており、日本国内中心で活動している企業のみならず、グローバル企業に対してもコンサルティングサービスを提供している。

通常のコンサルティング・研修に加え、外資系クライアント向けに英語によるコンサルティングやファシリテーションも行う。

※ 同作者による他の教育資料もご参考下さい。→ コンプライアンス資料庫

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