倫理の本質-カントと主意主義

倫理を高めるために本を読み、理屈を学ぶ。
他人の意見や有名な思想を知ったらあなたの倫理は高まるでしょうか?

答えは「ノー」です。

倫理とは何の問題か?・・・そう「人間の」「人間による」「万物に対する人間行為」の問題です。
そして、人間行為の問題には「これが絶対に正しい」とは言えないものがたくさんあります

もし偉い学者や政治家や宗教家がこれらの難問に対する答えを示したとしたとしても・・・公人であれ私人であれ・・・それはあくまで「その人としての答え」でしかありません。

哲学の世界に「主知主義」「主意主義」という言葉があります。
主知主義とは意志よりも知性に優位をおく立場であり、主意主義とは知性よりも意志の優位性を主張する立場のことです。

もしあなたが優れた思想を学んだら自分の倫理が高まるような気持ちでいたとしたら、あなたは主知主義の立場にいることになります。

しかし、倫理は主知主義では高まりません

なぜなら、倫理についての答えは「本当のところはどうなのか」という深い思考の結果として出てくるものであり、「ゆえに、こうありたい/あらねばなならない」というあなた自身の意志から出てくるものだからです。

カントが言った「善意志(guter Wille)」や「格率(Maxime)」とはそういうことだと理解していい。

そして、カントが道徳法則定言命法で言っていることを私なりに噛み砕くと、こうなります。

  • 倫理は主意主義から出発すべきものであり、その本質はあなたの外側にはない。
  • 倫理の本質は「自分の内側」=「自分の内面」=「あなた自身」にある。

コンプライアンスの問題・・・・何を「いいこと」とし、何を「グレー」とし、何を「だめなこと」とするか・・・・も同じです。

そして私はこう考えています。

  • コンプライアンスは(も)主意主義から出発すべきものであり、その本質は(も)あなたの外側にはありません。
  • コンプライアンスの本質は(も)「自分の内側」=「自分の内面」=「あなた自身にある」のです。

初稿:2010年 9月14日 (https://profile.ne.jp/w/c-45361/

(中沢努 「人間としてのコンプライアンス原論」を一部加筆)
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