よいコンサルタント/よい研修講師/よい本

  • コンサルタントを雇っている会社がコンサルタントに言いました。
    「どうすればいいんだ、解決策を出せ。そのためにお前を雇ったのだ。」
  • 研修の受講生が講師に言いました。
    「こういう時はどうすればいいんですか?答えを教えてください。そのために会社は受講料を払ってまで研修してくれているのですから。」
  • ビジネス書の読者がつぶやきました。
    「読むだけで答えがわかる本がいい。そういう本こそ買うに値する本だ。」

こういう会社の声に応えるコンサルタントがいます。
こういう受講生の声に応える研修講師がいます。
こういう読者の声に応える本があります。

しかし、どうなのですかね。
こういうものを欲するというのは。

「楽」をもたらすこれらのサービスは、自分で考えて深みのある答えを引きずり出すという本物の思考を忘れさせる。

  • その最大の被害者は、そういうコンサルティングサービスを求める会社です。
  • その最大の被害者は、そういう研修を求める受講生本人です。
  • その最大の被害者は、そういう本を求める読者自身です

 

でもそれはどれも自業自得です。

出所:中沢努「思考のための習作」

(初稿)2010年 6月15日

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筆者

中沢 努

早稲田大学文学部で哲学を学び卒業後、同時通訳訓練を受ける。
複数のコンサルティング会社で仕組みによる人間系の問題解決に従事した後、「人間そのもの」に焦点をあてたコンサルティングや教育を開始。

現在は「個の内面に深く入り込む」ことにより組織内の様々な問題解決を行う活動に従事。キャリア30年。

※ 筆者による他の教育資料もご参考下さい。→ ①公開資料集、②コンプライアンス資料庫