コンサルティング力とは・・・ノウハウを求める愚

あるコンサルティング会社に問い合わせがありました。
問い合わせの主はとある企業の営業担当役員。

「詳しくは言えないが、社内でプロジェクトが動いている。
成功すればマスコミも大きくとりあげること間違いなしのビックプロジェクトだが、その分難易度が高い。
社長は成功確率を五分五分と見ているが、私はそんなに簡単ではないと思っている。
第一線のエース級を投入しているが力不足だ。
コンサルタントのように論理的に頭を使い、スピーディーに提案し、コミュニケートしながら進めて欲しいのだが、そのレベルでない。
みんな気ばかり急いて空回りしているようだ。
育つまで待つなどというような悠長なことも言ってられない。
ノウハウが欲しい。
提供してくれないか。」

私は考えてしまいました。
「ノウハウを買うなんて無駄。そんなことしても意味がないのに…」

コンサルティング力とは巷にあふれるビジネス書にある手法、つまり誰でも知っているようなものをやりきる力のことです。

それらのほとんどは既に知られており、特別なものなんかではない
だからそういうものを求めても無駄なのです。

じゃあ、何が必要なのか?

それが分からないとしたら、それは問題です。
「それを教えるのがお前だろ」と思ったとしたら、それは大きな問題です。
ここまで読んでムッとしたり腹立たしく感じたとしたら、それはもっと大きな問題です。

出所:中沢努「思考のための習作」

(初稿)2010年 6月14日

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筆者

中沢 努

早稲田大学文学部で哲学を学び卒業後、同時通訳訓練を受ける。
複数のコンサルティング会社で仕組みによる人間系の問題解決に従事した後、「人間そのもの」に焦点をあてたコンサルティングや教育を開始。

現在は「個の内面に深く入り込む」ことにより組織内の様々な問題解決を行う活動に従事。キャリア30年。

※ 筆者による他の教育資料もご参考下さい。→ ①公開資料集、②コンプライアンス資料庫