コストを下げた会社を私達は褒めていいのか?

コストを下げた会社が賞賛された。
生産性を高めた会社が賞賛された。
リストラを断行した会社が賞賛された。

しかし本当に賞賛できるのだろうか?

確かに、社員に強いたコスト削減努力を上回るものを社長が残したのであればいい
確かに、生産性を高めるために社員が行った創意工夫を上回るものを社長がやったのであればいい
確かに、リストラの断行で被った社員の犠牲を上回る犠牲を社長が払ったのであればいい

  • 社長がどれだけコストを下げたか?
    そして、それは量や質の面において社長としてふさわしいものだったのか?
  • 社長がどれだけ生産性を高めたか?
    そして、それは量や質の面において社長としてふさわしいものだったのか?
  • 社長がどれだけ犠牲を被ったか?
    そして、それは量や質の面において社長としてふさわしいものだったのか?

このような点を追求し、掘り下げ、評価論評した報道を私は知らない。
しかしコストを下げ、生産性を高め、リストラを断行した会社を或いはその会社のトップを褒め称える論評は知っている。

私たちが普段目にしている報道や論評はこの程度のものだ。
このような報道や論評を読んで、ものが分かった気になってはいけない

出所:中沢努「思考のための習作」

(初稿)2010年 7月01日

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筆者

中沢 努

早稲田大学文学部で哲学を学び卒業後、同時通訳訓練を受ける。
複数のコンサルティング会社で仕組みによる人間系の問題解決に従事した後、「人間そのもの」に焦点をあてたコンサルティングや教育を開始。

現在は「個の内面に深く入り込む」ことにより組織内の様々な問題解決を行う活動に従事。キャリア30年。

※ 筆者による他の教育資料もご参考下さい。→ ①公開資料集、②コンプライアンス資料庫